〖節税相談〗みなし役員賞与

とある会社の社長から従業員である妻に賞与を支払いたいのだけれど、税務上問題はありますかとご相談がありました。

先生!ご無沙汰しております。
うちの会社で従業員として働く妻に賞与を支払いたいと思っているんですが、税務上何か注意すべき点はありますでしょうか?

社長!お世話になっております。
ご相談の件ですが、奥様は役員ではありませんが支払った賞与が役員賞与とみなされて経費にできない可能性がございます。

えっ!?そうなんですか。
でも先生!役員は私だけですよ!登記簿謄本にも私の名前しかありません。
妻は普通の従業員なのに支払った賞与が経費にならない可能性があるんですか。。。

社長の仰る通りなのですが、法人税法には会社法上の役員以外にみなし役員という考え方がございます。
そして、このみなし役員に該当する場合には登記簿謄本に記載がなくても役員とみなされてしまうのです。

先生!どんな場合にみなし役員に該当してしまうのでしょうか?

はい。具体的には会社の経営に携わっている社員で、一定の持株要件を満たした方がみなし役員と取り扱われてしまいます。
持株要件につきましては、複雑ですので省略させていただきますが、ざっくりとしたイメージは会社の株をたくさん持っている社長の奥様が社員の場合にみなし役員に該当してしまうということです。

完全に私の妻じゃないですか。
ということは、妻に賞与を支払っても経費にはできないということですかね。。。

ただ、経営に従事していない場合は、みなし役員に該当しません。
この経営に従事している・いないの判断は実務上、非常にデリケートな部分です。
ちなみに奥様は会社ではどのようなお仕事をされておりますでしょうか。

そうなんですね。妻には事務と経理をしてもらっています。

なるほどですね。
過去の判例によると、営業分野の変更、採用・昇格・給与の決定、借入の実行決定などに携わっていると「経営に従事している」と指摘される可能性が高いとのこと。
逆に、経理事務作業を行っている程度、社長の決定した方針にしたがって販売や仕入の実務責任を負っている程度の場合は「経営に従事している」とはならないと捉えることができます。

であれば、先程もお伝えした通り妻には事務と経理をしてもらっているだけなので、
「経営に従事している」ということにはならず、みなし役員にも該当しないということでしょうか。
会社の経営や方針についてはすべて私の方で決定していますし、妻には事務と経理業務以外には悩みを聞いてもらうことがあるくらいです。

であれば、大丈夫そうですね。
あとは、奥様に支払う賞与額が不相当に高額にならないように注意していただければと思います。

かしこまりました。
妻に支払う前に先生にご相談に乗っていただいて本当に良かったです。
賞与額についてはまた改めてご相談させてください。
本日はお忙しいところありがとうございました。

とんでもございません。私も事前にご相談いただいてよかったと思っております。
賞与額の件、承知いたしました。
こちらこそ引き続きよろしくお願いいたします。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です